「店舗ごとに接客品質にバラつきがある…。」とお悩みではありませんか?
接客は飲食店の評判を左右する重要な要素です。
従業員の接客品質を高水準にするためには、接客マニュアルが欠かせません。接客マニュアルを作ることで、お客様に喜ばれる飲食店経営ができ、従業員の入れ替わりにも対応できるようになります。
この記事では飲食店における接客マニュアルの作り方をわかりやすく解説します。
お客様に喜ばれるマナーと言葉使いにも触れますので、ぜひ接客マニュアル作りの参考にしてください。
飲食店で接客マニュアルが必要な理由
飲食店で数多くあるマニュアルの中でも接客マニュアルは必要不可欠です。主な理由は以下が挙げられます。
- お客様の満足度を上げられる
- 接客品質を平準化できる
- 新しいスタッフの教育期間を短縮できる
それぞれを少し詳しく確認していきましょう。
お客様の満足度を上げられる
飲食店を繁盛店にしていこうと思えば、接客品質を向上させることが大切です。接客マニュアルがあれば、接客品質を一定レベル以上に保てます。
日本人は接客に対する期待値が高いことで有名です。消費者庁の調査によると、商品やサービスを選ぶ際に、約9割の人が「接客態度を意識する」と回答しています。
参照:消費者庁「消費者問題の動向と消費者意識・行動」図表I-1-6-25
いくら美味しい料理やドリンクを提供しても、接客品質が伴っていなければ、お客様には選ばれないでしょう。接客マニュアルを活用して、接客品質を保つことが大切です。
接客品質を平準化できる
アルバイトやパートスタッフが多い飲食店では、接客マニュアルで基準を設けることが大切です。
接客マニュアルが無ければ、スタッフの言葉使いや料理の説明に差が生まれるでしょう。入店したばかりのスタッフが対応すると、お客様から不満が出る可能性もあります。
接客マニュアルで基準を設けることで接客品質を一定レベルにすれば、スタッフでの格差を小さくできるでしょう。ただし、マニュアルの質が接客の質に直結するので作り込みが必要です。
新しいスタッフの教育期間を短縮できる
飲食店は人の入れ替わりが多く、その都度新しいスタッフを教育します。接客マニュアルがあれば教育期間を短縮可能です。
最近では動画を活用した接客マニュアルを作る飲食店が増えています。スマホでも見れるように工夫すれば新人スタッフ個人が隙間時間で学習できるので、教育担当者の負担を軽減できるでしょう。
接客マニュアルが教育資料となるので、早期に新人スタッフへの教育が完了します。
接客マニュアルの作り方
飲食店の接客マニュアルをどうやって作ればよいかわからない人は、以下の流れで作っていきましょう。
- コンセプトを共有する
- 全体のサービスフローを明確にする
- シチュエーションごとの対応を説明する
- トラブル時の対応を決めておく
それぞれを詳しく確認するので、接客マニュアルを作る時の参考にしてください。
1.コンセプトを共有する
まずは接客マニュアルの冒頭でお店のコンセプトを共有します。コンセプトは接客態度のベースとなる重要な要素です。
例えば、落ち着いた空間がコンセプトの飲食店があったとします。お客様が入店した時に大きな声で「いらっしゃいませ!」と出迎えるとどうでしょうか?落ち着いた空間を求めて来たお客様はすぐに帰ってしまうかもしれません。
このように接客の良し悪しはコンセプトによって左右されます。接客マニュアルでしっかりとコンセプトを共有しましょう。
2.全体のサービスフローを明確にする
次にお客様が入店してから帰るまでのサービスフローを明確にします。サービスの流れを全体的に頭に入れることで、スムーズに接客できる様になるためです。可能であれば図やイラストを使って解説しましょう。
お店のレイアウトや座席表を記載しておくことも大切です。お客様を席やトイレに案内するときに役立ちます。
後ほどシチュエーションごとに分解するので、このパートでは全体像をざっくりおさえる程度でOKです。
3.シチュエーションごとの対応を説明する
いよいよシチュエーションごとの対応を説明していきます。主に以下を記載しましょう。
- 入店時から座席への案内
- オーダーの取り方
- 料理の提供
- 済んだ食器の片付け
- お会計と退店時
このパートではシチュエーションごとの対応を細かく説明します。満席時に入店されたお客様への接し方や料理の提供に時間がかかるときなどイレギュラーな対応も説明しておくことが大切です。
対応時の言葉使いについてもマニュアルに記載します。言葉使いについては、後ほど紹介する用語集を参考にしてください。
4.トラブル時の対応を決めておく
飲食店では時にお客様とのトラブルが発生します。マニュアルでカバーできないトラブルが発生した場合にどう対応すればよいか、事前に決めておくようにしましょう。
飲食店で発生しやすいトラブルには以下が挙げられます。
- 料理への異物混入
- オーダー違い
- 空調機器のトラブル
- お客様同士のトラブル
お店側に責任があるトラブルの場合は、すぐに謝罪して店長など責任者に対応を引き継ぐなどルールを決めておくことが大切です。早急に対応することで、お客様の信頼を取り戻すチャンスが生まれるでしょう。
接客マニュアルに載せるべき言葉使いの例
飲食店は、社会人経験がない高校生や大学生が初めて働く場所になりやすいのが特徴です。接客マニュアルには「社会人にとっては当たり前」と思われることでも掲載しましょう。
以下でさまざまなシチュエーションに合わせた言葉使いの例を紹介しますので、ぜひ接客マニュアルに盛り込んでみてください。
お客様が来店したとき
- いらっしゃいませ。何名様でしょうか?
- ご予約のお客様でいらっしゃいますか?
- 恐れ入ります。お名前をお伺いしてもよろしいですか?
- 申し訳ございません。少々こちらでお待ちいただけますでしょうか。
- 席にご案内します。こちらへどうぞ。
お客様の第一印象となる来店時は特に言葉使いが大切です。予約の有無やその時のお店の空席状況によって、使う言葉が異なります。パターンに合わせて適切な言葉使いを選択できるように、スタッフを教育しましょう。
注文を伺うとき
- こちらが当店のメニューでございます。
- ご注文はお決まりでしょうか?
- ご注文は以上でよろしいですか?
- かしこまりました。少々お待ちください。
席に着いたお客様の状況を見て、適切なタイミングでの声掛けを心がけます。
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」はよくある間違いです。メニューの確認をする時に過去形を使うのは、日本語として不適切なので注意しましょう。
料理やドリンクを配膳するとき
- お待たせしました。こちら〇〇でございます。
- お飲み物をお持ちしました。
- ご注文の品はすべて揃いましたでしょうか?
- 失礼します。こちらはお下げしてよろしいでしょうか?
注文された料理やドリンクが完成したら、速やかにお客様の席に配膳しましょう。配膳の際に食事が済んだお皿などがあれば、一言添えて片づけます。お店とお客様の状況を確認して、タイミングよく声掛けすることが大切です。
お客様が退店するとき
- ありがとうございます。伝票をお預かりします。
- 合計で〇〇円です。
- 〇〇円お預かりします。
- 〇〇円のお返しです。お確かめください。
- ありがとうございました。またお越しくださいませ。
食事を終えて退店されるお客様には、丁寧なおじぎをするなど感謝の気持ちを込めて対応しましょう。正しい言葉使いと気持ちを込めた対応をすれば、お客様が「また来店したい」と思うようになるでしょう。
電話で対応するとき
- お待たせいたしました。〇〇でございます。
- お電話ありがとうございます。〇〇(店名)の△△(名前)が承ります。
- 予約状況を確認します。少々お待ちください。
- ご予約内容を確認します。〇月〇日〇時から4名、△△様で間違いないでしょうか?
最近ではWeb予約が増えていますが、飲食店では電話で予約を受ける場面もあります。
電話ではいつもよりハキハキと明るく話すように心がけましょう。明るい声で電話応対すれば、お客様からの印象がよくなります。
飲食店で好印象を与える接客マナー
飲食店が繁盛するかどうかは料理やドリンクだけでなく、接客マナーにも左右されます。よい接客の土台となるのは以下のマナーと心構えです。
- 丁寧なおじぎ
- 清潔な身だしなみ
- お客様目線に立った気遣い
お客様に好印象を持ってもらうためにも、マナーと心構えも接客マニュアルに盛り込みましょう。
丁寧なおじぎ
お客様は飲食店スタッフの言葉使いだけではなく、行動も見ています。丁寧なおじぎはお客様に好印象を与えるでしょう。丁寧なおじぎのポイントは以下のとおりです。
- 背筋を伸ばしてまっすぐ立つ
- 手を前で組む
- 頭だけではなく腰を15度程度曲げる
単に頭を下げるだけではなく、立ち止まって腰を軽く曲げることで丁寧な印象を与えられます。お客様をお見送りするときは、腰をより深く曲げておじぎするように心がけることが大切です。
清潔な身だしなみ
飲食店で接客する時は清潔な身だしなみが欠かせません。いくら丁寧な言葉使いや立ち振る舞いを意識しても、髪がボサボサで制服が汚れていれば不衛生に映ってしまいます。
接客マニュアルでは清潔に見える最低限の身だしなみを基準として設けましょう。例えば、「長い髪はまとめること」や「無精ヒゲの禁止」などです。身だしなみは出勤時に店長など責任者が確認して、チェックシートに記入することでフォローできます。
お客様目線に立った気遣い
小手先の接客テクニックだけではお客様に喜ばれる飲食店にはなれません。大切なのは常にお客様目線に立つことです。
中には接客マニュアルに書かれていないことがお客様のためになることがあります。その場合は、マニュアルを頭から切り離して行動しても問題ありません。
お客様と接するスタッフの意見に耳を傾けて接客マニュアルを見直すことも時には大切です。お客様目線に立った気遣いができれば、自然と満足度は高まっていくでしょう。
接客の基本はお客様目線を忘れないこと
「お客様がどうすれば心地よいか」というお客様目線で対応することが、接客の基本です。接客マニュアルはあくまで基準であり、基準以上の価値が提供できるのであれば、積極的に実行しましょう。
接客マニュアルはお客様と接するスタッフの声を盛り込むと、よりよいものに仕上がります。飲食店に特化したコミュニケーションツール『botto』を使えば、スタッフのリアルな声を聞くことが可能です。気になる方は、お気軽にお問い合わせください。