「アルバイトのスタッフが頻繁に遅刻してくる…。」「営業中にタバコを吸いに行って帰ってこない…。」
飲食店でこのようなお悩みをお持ちはないでしょうか?もしかするとハウスルールを作ることで解決できるかもしれません。
飲食店では正社員からアルバイトスタッフまで多くの人が働いています。自分の常識=他人の常識 というわけではありません。働く人すべてに共通する「ルール」を設けることで、従業員同士が気持ちよく働けるようになるでしょう。
この記事では飲食店におけるハウスルールについてわかりやすく解説します。飲食店でのハウスルールの種類や作り方のポイントを知りたい方は必見です。
飲食店でハウスルールを作った方がよい理由
正社員のスタッフ、学生のアルバイトやパートスタッフなど異なる属性の人が働く飲食店ではハウスルールを作ったほうがよいとされています。主な理由は以下のとおりです。
- 業務の質を一定レベル以上にする
- 従業員のモラルが向上する
- 従業員同士のコミュニケーションがよくなる
まずはハウスルールがなぜ飲食店に必要なのか、詳しく確認していきましょう。
業務の質を一定レベル以上にする
正社員やアルバイトなど属性の違う人が同じ職場で働く飲食店では、ハウスルールを設けることで業務の質を一定レベル以上にできます。新しく店舗に配属された人には、まず仕事に対して正しい姿勢を持ってもらいましょう。
飲食店ではQSCAの意識が大切です。
- Q:Quality(品質)
- S:Service(サービス)
- C:Cleanliness(清潔さ)
- A:Atmosphere(雰囲気)
QSCAの意識を高く持ってもらえるように、ハウスルールの冒頭に記載するようにしましょう。
従業員のモラルが向上する
「バイトテロ」を起こさないためには、ハウスルールの明確化が大切です。
過去にはアルバイトスタッフがキッチンの冷蔵庫に入って満面の笑みで映る写真をSNSに投稿し、拡散されるというバイトテロがありました。本部に苦情が殺到して、該当の店舗が閉店に追い込まれたという事例です。
スタッフには同様の事例を解説し、ハウスルールを徹底するように教育しましょう。事例を解説することで、従業員のモラルが向上しバイトテロの抑制につながります。
従業員同士のコミュニケーションがよくなる
飲食店では異なる属性の従業員が一緒に働くことが一般的です。人によって不平不満を感じるポイントを事前にルール化しておくことで、従業員同士のコミュニケーションがよくなります。
不平不満が出やすい例には以下が挙げられます。
- 休憩時間
- タバコを吸う場所
- タイムカードの切り方
休憩時間やタイムカードを切るタイミングが、人によって異なると他のスタッフから苦情が入り、職場の雰囲気が悪くなります。良好な人間関係を作るためにもハウスルールの設定は大切です。
事例から学ぶ飲食店のハウスルール
誰もが知る世界的に有名な企業もハウスルールを設けています。その中でも代表的な企業は以下のとおりです。
- スターバックスコーヒー
- 東京ディズニーリゾート
- ザ・リッツ・カールトン
上記企業のハウスルールを学ぶことで、飲食店にも応用できるでしょう。どんなハウスルールが採用されているか見ていきましょう。
事例1:ドレスコード(スターバックスコーヒー)
スターバックスコーヒーでは2021年8月にドレスコード(接客する服装)のルールを改定しました。髪や服装の色の選択肢が増え、デニムや帽子の着用が可能となり、スタッフの好みやスタイルを表現できる幅が広がったとのことです。
雰囲気のよい飲食店にするためには、スタッフがいきいきと働くことが大切です。スターバックスコーヒーは働くスタッフの個性を尊重して、ハウスルールの設定をおこなっています。
事例2:行動基準「The Five Keys~5つの鍵~」(東京ディズニーリゾート)
東京ディズニーリゾートで働くキャストは「The Five Keys〜5つの鍵〜」という行動基準に従って行動しています。5つの鍵は以下のとおりです。
- Safety(安全):何よりも安全を優先すること
- Courtesy(礼儀正しさ):心をこめたおもてなしをすること
- Inclusion(インクルージョン):多様な人たちを歓迎して尊重すること
- Show(ショー):毎日が初演の気持ちを忘れずに演じること
- Efficiency(効率):チームワークを発揮することで効率を高めること
これらは来場するゲストに最高の場所を提供するために、定められたハウスルールです。飲食店ではありませんが、飲食店で最高の空間を提供するための参考にしてください。
参考:株式会社オリエンタルランド『行動基準「The Five Keys~5つの鍵~」(東京ディズニーリゾート)』
事例3:企業理念「ゴールドスタンダード」(ザ・リッツ・カールトン)
世界的に有名なホテルであるザ・リッツ・カールトンには「ゴールドスタンダード」という企業理念があります。企業理念を従業員の行動に落とし込んでいるのが「クレド」です。
クレドはサービスへの基本精神が書かれたカードです。従業員が常に携帯しており、希望するお客様へはカードの配布を行っています。お客様へのクレドの配布は、良質なサービスへの決意表明ともいえるでしょう。
飲食店ではお客様に満足してもらうために、スタッフが共通認識を持って働くことが大切です。クレドのように行動指針を共通化するハウスルールをつくることで、良質なサービスを提供できるでしょう。
参考:ザ・リッツ・カールトン「企業理念ゴールドスタンダード」
飲食店でのハウスルールの種類
飲食店のハウスルールにはいくつかの種類があります。
- 勤務環境におけるルール
- 働くときのルール
- 衛生面のルール
ハウスルールをそれぞれの場面で使い分けることで、スタッフに伝わりやすくなるでしょう。具体的にどのようなハウスルールとなるのか、確認していきます。
勤務環境におけるルール
お客様と接すること以外の勤務環境におけるハウスルールは最も重要です。具体的には以下の項目を定めておきましょう。
- スタッフ同士の挨拶
- 出勤時、退勤時の流れ
- 休憩時のルール
- 更衣室の使い方
- 携帯電話の使用についてのルール
これらのルールを決めておくことでスタッフが気持ち良く働けます。スタッフ同士のトラブル防止のためにも勤務環境におけるルールは明確にしておきましょう。
働くときのルール
飲食店では主にキッチンとホールに分かれて業務をおこないます。持ち場でのルールを決めておくことで、スムーズに業務に取り組めるでしょう。
業務の具体的な手順はマニュアルに落とし込みます。接客マニュアルや調理マニュアルと各パートで細かく手順を設定することで、業務品質を保つことが可能です。
飲食店に必須となるマニュアルについては以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
衛生面のルール
お客様に料理や飲み物を提供する飲食店では、衛生面のハウスルールを徹底しましょう。新型ウイルス感染症の影響もあり、お客様が気にするポイントでもあります。
- スタッフの身だしなみ
- 手の洗い方
- 消毒の仕方
- 換気のルール
上記のような衛生面のルールを明文化しておくことで、お客様が安心できる環境を提供可能です。
飲食店でハウスルールを作るときのポイント
飲食店でハウスルールを作る時は以下のポイントが大切です。
- 店舗のコンセプトを明確にする
- 内容をシンプルにする
- 定期的に見直す
- 従業員の声に耳を傾ける
ハウスルールは経営側と従業員が双方納得できるような内容が望ましいといえます。下記で説明するポイントをしっかりとおさえましょう。
店舗のコンセプトを明確にする
ハウスルールをつくるときは、企業理念や行動指針、お店のビジョンといったコンセプトを明確にしましょう。
コンセプトの設定は、特にアルバイトスタッフのハウスルール作成時に重要です。サービスを提供するスタッフがどのようなお店か理解できていなければ、当然ながらお客様にもお店のよさが伝わりません。
スタッフがコンセプトに共感すれば、自ずと質の高いサービスが提供できるようになるでしょう。
内容をシンプルにする
何から何まで細かくハウスルールに落とし込むことはNGです。スタッフのためにも内容はシンプルにまとめましょう。
細かなルールで縛りすぎるとスタッフが働くときに窮屈だと感じてしまいます。働きにくさにつながるため、結果としてサービスの低下を引き起こしかねません。
ハウスルールに記入することは必須項目だけにして、誰が読んでも理解できる内容にすることを心がけましょう。
定期的に見直す
ハウスルールは一度決めれば終わりというわけではありません。時にはハウスルールがあるのに不具合が起こる場合もあります。スタッフが気持ちよく働けないのであれば、見直しを検討しましょう。
定期的にハウスルールを見直すことによって、スタッフが働きやすい環境を整えられます。早期離職の防止にもつながりますので、改善点がある場合は柔軟に対応しましょう。
従業員の声に耳を傾ける
ハウスルールをつくるときは、働くスタッフから意見を聞くことが大切です。実際にルールを守るスタッフの声に耳を傾けながらつくることで、現場になじむハウスルールがつくれます。
スタッフの声を聞くためには、面談で話を聞く、意見箱を設置するなどの方法が効果的です。最近では従業員の声が聞ける飲食店に特化したマネジメントシステムも登場しているので、活用を検討してみましょう。
ハウスルールを作って活発な飲食店を目指そう
ハウスルールを定めることでスタッフがいきいきと働ける飲食店に近づけます。活発な雰囲気はお客様にも伝わるので、好循環を生み出してくれるでしょう。
現場になじむハウスルールをつくりたいのであれば、飲食店に特化したコミュニケーションツール『botto』がおすすめです。『botto』を使えば、スタッフのリアルな意見がわかります。ぜひハウスルールをつくる参考にしてください。