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飲食店の事業計画書は想いが大切!エクセルテンプレートや書き方を紹介

飲食店の事業計画書についてエクセルテンプレートや書き方を紹介

「多店舗経営のために資金が必要だ…。」とお困りではありませんか?

飲食店経営における資金調達のためには事業計画書の作成が必須です

本記事では飲食店の事業計画書を書く前に準備することや、具体的な書き方を紹介します。すぐに使えるテンプレートも紹介しますので、事業計画書でお悩みの方は必見です。

飲食店の事業計画書とは?

事業計画書とは、自社の事業内容と収支計画を見える化する書類のことです。飲食店では新規開業や多店舗出店の際に金融機関から融資を受けるために、事業計画書を作成します。

飲食店で事業計画書を作成すれば、お店の事業内容や損益分岐点が客観的にわかり、経営を見直すきっかけにもなるでしょう。

金融機関から融資を受けやすくするためには、事業内容や計画性を伝えるだけではなく、お店に込めている想いも伝えることが大切です

飲食店の事業計画書テンプレート (エクセル版)

飲食店の事業計画書テンプレートを紹介

画像:資料No25「事業計画書(中小企業経営力強化関連用)」日本政策金融公庫

事業計画書には決まったフォーマットはありません。そのため、初めて事業計画書を書く方は何から書けばよいのかわからないこともあるでしょう。

政府系金融機関である日本政策金融公庫では、無料でエクセル版の事業計画書テンプレート(資料No.25)をダウンロードできます。事業計画書だけではなく、経営状況の振り返りシートや雇用維持・拡大計画書もダウンロード可能です。それぞれの書式に記入例がありますので、資料作りの参考にしてください。

参考:各種書式ダウンロード 日本政策金融公庫

飲食店の事業計画書を書く前の準備

飲食店の事業計画書を書く前の準備を解説

飲食店で事業計画書を書く前には、以下のように準備を進めることが重要です。

  • 目的とビジョンを明確にする
  • 市場調査を実施する
  • マーケティング戦略を決める
  • 財務計画を策定する
  • 実行計画を立てる

それぞれの準備についてポイントを確認していきます。

目的とビジョンを明確にする

まずは飲食店を経営する目的やコンセプト、顧客層などを考えて、将来的にどの程度まで事業規模を拡大したいかビジョンを明確にしましょう

ビジョンはお店が目指すべき姿のことであり、明確にすることでお客様にどのような価値や体験を提供すべきかわかるようになります。ビジョンが明確になると戦略が立てやすくなり、よりリアリティのある計画を立案することができます。

市場調査を実施する

お店の目的とビジョンが明確になったら、次に競合や市場動向を調査しましょう。市場調査により、お店の立ち位置や差別化ポイントを確認できます

出店を検討している地域にある競合飲食店の営業形態や売れ筋商品を調査することで、お客様のニーズがわかるようになるでしょう。市場調査を実施することで、競合状況や顧客ニーズを踏まえた事業計画書を作成できるようになります。

マーケティング戦略を決める

市場調査でお店の立ち位置を把握したあとは、自分たちのお店をどのようにしてPRしていくかを考えて、戦略を決めていきましょう。

ターゲットに対してお店の存在を知らせるためにチラシや看板などの広告を出したり、SNSを活用したりと、集客に関するマーケティング戦略を具体的に考えることが大切です

集客に関するアイデアは、以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

財務計画を策定する

マーケティング戦略を計画したあとは、資金調達計画や収支見込みなどの財務計画を策定していきます。

市場調査をベースに予想される売上高を算出し、食材の人件費や光熱費などの経費も見積もりましょう。現金の収入や支出、設備投資などキャッシュフローの予測を立てることも大切です。

自分たちの飲食店ビジネスが持続的に成長するために必要な資金や運用方針を明確にすることで、事業計画書を作成しやすくなります。

実行計画を立てる

最後に策定した戦略を実行するために必要なアクションプランを立てていきます。

具体的には開業日の決定や人員の配置、メニューの作成、必要なITツールの決定などです。実行計画を立てることで、策定したマーケティング戦略や財務計画が現実的なものかどうか判断できます

もし現実的な計画となっていない場合は、納得がいくまで計画を練り直しましょう。実現可能な事業計画書を作成するためにも、緻密な実行計画の策定は欠かせません。

飲食店の事業計画書の記載例

飲食店の事業計画書の記載例を紹介

飲食店で実際に事業計画書を書こうと思うと、なかなか筆が進まないこともあるでしょう。ここからは日本政策金融公庫のテンプレートへの記載例を紹介します。

  • 現況
  • 新商品の開発または新役務の内容
  • 経営上の課題
  • 業績推移と今後の計画
  • 借り入れの状況
  • 計画を達成するための行動計画

それぞれの記載例を紹介するので、事業計画書を書くときの参考にしてください。

現況

飲食店のこれまでの経歴や現在の状況を記載する項目です。非常にシンプルな項目ですが、現況欄に競合店との差別化ポイントを記載しておくのもよいでしょう

【記載例】

・2013年に福岡市博多区で肉バルをオープンし、2023年10周年を迎える。

・「化学調味料不使用のジューシーでビッグなソーセージ」と「地域密着型」を強みとしており、地域のイベントにも積極的に参加している。

新商品の開発または新役務の内容

新メニューや新サービスなど新たな取り組みを記入する項目です。新規出店や通販メニューの開発などもこの項目に含まれます

【記載例】

・売上拡大を図るべく、福岡市中央区に2店舗目を出店する。

・「イートインのソーセージをご家庭でも」をキーワードにして、自家製ソーセージを販売するECサイトを開設する。

・ハンバーグ、豚ステーキなどお店の味をご家庭でも気軽にいつでも楽しんでもらうために、24時間営業の冷凍自販機事業を開始する。

経営上の課題

事業計画書を記入する経営者が、飲食店の状況を正しく判断できているかチェックする項目です。①経営全般 ②売上・収益 ③人材・マネジメントの3項目にわかれており、該当項目にチェックを入れて、具体策を記入します。

【記載例】※経営全般で「IT化の遅れ」にチェックを入れた場合

・創業以来、手書きの伝票で売上管理や在庫管理を行っている。

・メニュー数の増加やランチタイム営業の開始など、管理する内容が多くなってきたため、POSレジの導入を検討中。

【記載例】※売上・収益で「販路拡大」にチェックを入れた場合

・コロナ禍でイートイン需要が減少し、売上確保のためには複数チャネルの販路を持つべきと痛感した。

・テイクアウト需要も落ち着きつつあるので、新たにECサイトと冷凍自販機での販売を検討中。

【記載例】※人材・マネジメントで「店舗マネジメント」にチェックを入れた場合

・2店舗目の出店を検討しているが、これまで少人数でお店を切り盛りしていたため、店舗マネジメントスキルの向上が必須。

・2店舗目の状況把握のため、コミュニケーションツールの導入を検討中。

業績推移と今後の計画

飲食店の前期と今期の業績実績と、今後3期分の業績計画を記入する項目です。事業計画書の中でも重要な部分なので、正確な数値を記入しましょう。

特に今後の計画については、記入した新商品や新役務がどのような影響を与えるのかをイメージしながら記入することが大切です。実際に融資担当者との面談では、数字に対して根拠を説明できるように準備しましょう。

借り入れの状況

銀行など金融機関からの借入金がある場合に記入する項目です。前期と今期の決算期末での残高と、今後の借り入れについての予想について記入します。

自己資本と借入金のバランスが悪い場合、融資の査定を受けるときにマイナス評価となるケースもあるので、事前に融資相談に強い税理士に相談するのもよいでしょう。

計画を達成するための行動計画

今後の計画欄に記入した数値を達成するために必要な行動計画について記入する項目です。3年後の計画数値をやり遂げるために、具体的に何をするのかを細分化して記入します。行動計画が具体的であればあるほど、融資を受けやすくなるでしょう

【記載例】

<定量目標>
営業利益1,000万円の達成

<行動計画等>
・売上の増加と原価や経費削減によって達成する。
・現状のイートインに加えて、ECサイトの運営と冷凍自販機事業を開始。

・(計画1期目):イートインで人気の商品をECサイトと冷凍自販機に投入。SNSを通じて宣伝。販売データを毎月の定例会議で確認する。
・(計画2期目):ECサイトと冷凍自販機事業限定の商品開発を行い、市場に投入する。
・(計画3期目):2店舗目を出店する。ECサイトと冷凍自販機で取得したデータから主力製品を決め、1店舗目の色を残しつつ差別化を図る。

・POSレジと在庫管理システムの導入により、発注の半自動化を実現して、在庫ロスを減らす。

事業計画書に飲食店にかける想いを込めよう

事業計画書は飲食店事業を拡大するために、なくてはならない書類です。しかし、ただ単に計画数値を記入するだけでは、満足する融資を受けられない可能性があります。

事業計画書において大切なのは「飲食店にかける想いを込めること」です。文章に魂を込めることで、熱い想いが伝わります。飲食店の事業計画書を作成するときは、時間をかけて想いを表現するようにしましょう。