店舗運営

無人店舗ビジネスを検討しよう!押さえるべきポイントや事例を紹介

無人店舗ビジネスで押さえるべきポイントや事例を紹介

「飲食店で無人店舗を始めてみたいけれど、始め方がわからない…。」「人がいなくても本当に運営できるの?」とお悩みではないでしょうか?

無人店舗ビジネスは、事前にポイントを押さえることで導入に向けて動きやすくなり、効率的な経営がしやすくなります。

本記事では、飲食店の無人店舗を運営するメリットやデメリットを解説します。実際に飲食店での展開事例も紹介しているので、無人店舗の展開を検討されている方は必見です。

飲食店における無人店舗ビジネスとは?

無人店舗ビジネスは既にさまざまな業界で導入されており、飲食業界では無人自動販売機を展開している企業も多くあります。今後も無人店舗ビジネスの手段や方法は増えていくでしょう。

日本の飲食店では無人自動販売機の導入が進みつつありますが、アメリカや中国のように接客を伴う無人店舗は展開されていないのが現状です。

人口減少や少子高齢化の影響で人手不足が進む飲食業界において、無人店舗ビジネスのポイントを押さえておけば、将来役に立つかもしれません。

無人店舗ビジネスのメリット

無人店舗ビジネスのメリットを解説

飲食店が無人店舗ビジネスに取り組めば、以下のメリットを得られます。

  • 人手不足の解消に役立つ
  • 新規顧客の獲得につながる
  • 顧客データの収集と分析ができる

まだまだ日本では発展途上の無人店舗ビジネスですが、メリットを知ることで、いざという時に行動しやすくなるでしょう。

人手不足の解消に役立つ

無人店舗ビジネスは少子高齢化による人員不足の解消に役立ちます。開業当初で小規模な店舗でも従業員を雇わずに済むので、ランニングコストを削減しての運用が可能です

従業員のシフト作成や労務管理を行わなくても24時間営業ができ、販売機会を逃さないのもメリットだといえます。

システム管理や問い合わせ対応など管理面では人手がかかることも想定されますが、営業面では人に頼らないでの運営が可能です。

新規顧客の獲得につながる

無人店舗ビジネスは24時間営業が可能になるため、早朝や深夜など従来の営業時間外に利用する新しい客層を確保できます。万国共通の決済方法を活用すれば、外国人旅行者に利用してもらうチャンスも広がるでしょう。

販売する商品の品質がよければ、リアル店舗への誘導にもつながります。無人店舗ビジネスで新規顧客を見つけて、リアル店舗に誘導し、定着してもらうのが理想的です。

顧客データの収集と分析ができる

無人店舗ビジネスでは自動化されたシステムを活用するため、顧客の注文データや来店履歴などの情報が収集しやすくなります

例えば、自動レジやスマホアプリなどから収集されたデータは顧客の好みを分析するために活用可能です。分析により顧客ニーズに合わせた戦略を立てられるため、お客様の満足度を高められるでしょう。

無人店舗で試験的に商品を販売してデータを取って、商品を改善していくのも1つの方法です。

無人店舗ビジネスのデメリット

無人店舗ビジネスのデメリットを解説

無人店舗ビジネスはメリットがある一方でデメリットもあります。ここでは以下3つのデメリットを解説します。

  • 初期費用がかかる
  • 防犯セキュリティ面でリスクがある
  • 問い合わせやクレームにすぐに対応できない

初期費用がかかる

無人店舗を設置するためには、設備費用やセキュリティシステムの導入などの投資が必要です。初期費用は規模にもよりますが、数百万〜数千万円に及ぶこともあります

従業員が少なくて済むため、ランニングコストはある程度削減できますが、初期費用が膨大で回収するのに長い年月がかかれば、事業継続は難しくなるでしょう。

無人店舗ビジネスでは、資金調達やリスク管理について慎重な計画を立てたうえで展開することが大切です。

防犯セキュリティ面で万引きなどのリスクがある

無人店舗ビジネスでは、お客様が自ら商品を取り扱うので万引きや盗難、機材が破壊される可能性がゼロではありません。対策のためには監視カメラやセキュリティシステムの導入が必須ですが、前述のとおり初期費用がかさむのがデメリットです

仮に防犯対策を怠った場合、商品や金銭の万引きや盗難など重大な犯罪につながるリスクがあります。被害が発生すると、警察とのやり取りや信用回復に向けての活動が必要です。本業以外で多大なる労力が発生するため、防犯対策はマストとなります。

問い合わせやクレームに対してすぐに対応できない

無人店舗ビジネスではスタッフが常駐しておらず、お客様の問い合わせにその場で対応できません。対応が遅くなった結果、クレームになるケースも考えられます。

クレームの発生はお店の信用に関わるため、迅速な対応が必須です。クレームに発展する前に対処できるように、サポート体制を充実させましょう

例えば、無人店舗に設置したQRコードを読み取ることで問い合わせページにつながる仕組みを作ります。AIで回答できるシステムを構築しておけば、お客様の問い合わせにすぐ対応できるでしょう。

無人店舗ビジネスで押さえるべきポイント

無人店舗ビジネスで押さえるべきポイントを解説

無人店舗ビジネスを展開するためのポイントを押さえておけば、開店した後の課題を少なくできるかもしれません。

  • 確実に支払いができるシステムの確立
  • 遠隔での店舗監視体制の仕組み作り
  • 各種システムの一元管理

ここからは上記3つのポイントを解説します。

確実に支払いできるシステムの確立

無人店舗ビジネスを展開するためには、スムーズな決済方法を導入することが大切です。

支払方法が複雑だと、お客様が購入を断念してしまうかもしれません。逆に現金での支払いは管理工数がかかるだけでなく、盗難リスクも高まります。ICカード決済やQRコード決済などを取り入れ、現金での支払いはなるべく避けた方がよいでしょう

支払いトラブルを減らすことで、自然とお客様の信頼を得やすくなります。

遠隔での店舗管理体制の仕組み作り

無人店舗ビジネスでは管理体制が重要です。以下2点は取り入れるべき仕組みだといえます。

  • 無人店舗の状況をリアルタイムで確認できる
  • 必要に応じて遠隔操作ができる

具体的には、カメラやセンサーを用いて店内の状況を確認し、商品の在庫状況や顧客の動向を把握します。時間帯によって自動で商品の陳列を入れ替えるなど工夫すれば、お客様に選ばれる無人店舗になれるでしょう。

無人店舗の運営は開業前に入念にシミュレーションして、細かい部分まで配慮した仕組み作りが大切です

各種システムの一元管理

無人店舗ビジネスでは様々なシステムを導入する必要があります。具体的には商品の在庫管理、支払決済、セキュリティ管理などです。システムを別々に管理すると工数がかかるだけでなく、情報の整合性が取れなくなる可能性があります

可能な限り一元管理できるシステムを選ぶことが大切です。システムを一元管理できれば、管理業務が効率的になるので、スムーズな無人店舗運営が可能となります。

飲食店における無人店舗の導入事例

飲食店における無人店舗の導入事例

日本の飲食店では無人販売所を展開している企業が多くあります。ここからは無人販売所の事例と、無人店舗ビジネスで先を行く中国とアメリカの事例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 吹田日和ラーメン販売所
  • 海底撈【中国】
  • Eatsa(イーツァ)【アメリカ】

吹田日和ラーメン販売所

大阪府吹田市にある株式会社Paddle(パドル)は、地域メディア「吹田日和」を運営する企業です。

吹田市の人気ラーメン店7店舗のラーメンを集めた冷凍自動販売機「吹田日和ラーメン販売所」をJR吹田駅東出口(北口)より徒歩1分の立地に設置しており、地域の飲食店と住民をつなげる地域活性化に貢献しています

地元飲食店の販路開拓と、地域住民に手軽に人気ラーメン店の味を楽しんでもらうためのサービスを展開している事例です。

参考:吹田市の人気ラーメン店の味が大集合!フォロワー1万人の地域メディアが手掛ける冷凍自動販売機「吹田日和ラーメン販売所」が吹田駅にオープン

海底撈(ハイディーラオー)【中国】

中国の海底撈(ハイディーラオー)はロボットアームを使用して、自動的に食品を調理し提供する無人レストランを展開しています。

QRコードでの入店やスマホで注文を行い、その後ロボットアームが完全自動で食材を調理して提供する仕組みです

店舗運営のコストが高いことが課題ですが、同社は今後も技術開発やサービス改善をして事業拡大を目指しています。発展が著しい中国では今後さらに無人店舗ビジネスが拡大していくでしょう。

参考:火鍋チェーンの「海底撈」がスマートレストランを開業、飲食業を改革

Eatsa(イーツァ)【アメリカ】

Eatsa(イーツァ)はアメリカ・サンフランシスコに本社をおく完全無人店舗のチェーン店で、2015年に最初の店舗を開設しました。

スマホでの注文の後、料理の自動調理により、スピーディーで効率的なサービスを提供しています。注文と支払いはタブレット端末で行われ、料理が準備されたらコインロッカーのような受取口で受け取る仕組みです

Eatsaが成功した理由のひとつに、効率的なオペレーションがアメリカの国民性とマッチしたことが挙げられます。日本で無人店舗ビジネスを展開するのであれば、風土や国民性を意識した運営が成功のカギとなるでしょう。

参考:シリコンバレー見聞録 無人レストラン「Eatsa」に行ってみた

これからの飲食店には無人店舗ビジネスを検討しよう

少子高齢化社会の日本の飲食店では、人手不足は切っても切り離せない問題です。困難を乗り越えるためには、無人店舗ビジネスのような新たな領域に挑戦することも必要になるでしょう。無人店舗ビジネスの先駆けとして、デジタルツールを活用した業務効率化に取り組むのも1つの方法です

飲食業界はますます変化していき、無人店舗ビジネスなど新たなビジネスモデルが続々と登場するでしょう。流れに乗り遅れないように、今後も新たなトレンドにはアンテナを立てておくことが大切です。