「事業拡大でECサイトを開設したいけれど、費用が気になる…。」とお悩みではありませんか?ECサイトで販路拡大を図りたい飲食店にとって、ネックになるのがECサイトの構築から開設に掛かる費用です。
国や地方自治体による補助金を活用することで、飲食店でもECサイトを少ない負担で開設できる可能性があります。
本記事では飲食店がECサイトを開設する際に活用できる補助金をまとめています。ECサイトを活用して店舗以外の売上を増やしたいと考えている飲食店関係者は必見です。
飲食店がECサイト開設に使える補助金
飲食店がECサイトを開設する場合、初期費用だけでも多額のコストがかかる可能性があります。以下の補助金を活用すれば、少ない負担でECサイトを開設できるでしょう。
名称 | 補助金額・補助率 |
---|---|
事業再構築補助金 | ・補助金額 最大1.5億円 ・補助率 1/3~3/4 |
IT導入補助金 | ・補助金額 最大450万円 ・補助率 1/2~3/4 |
外食産業成長支援補助金 | ・補助金額 最大1,000万円 ・補助率 1/2以内 |
小規模事業者持続化補助金 | ・補助金額 最大200万円 ・補助率 2/3~3/4 |
それぞれの補助金について、概要を確認していきます。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小企業が業態転換や新事業の開始など思い切った事業再構築を行う際に活用できる補助金で、2023年8月現在も公募されています。
ECサイトの開設と運用は、飲食店の中でも事業再構築として認められやすい分野です。事業再構築補助金は他の補助金よりも補助金額が高額なのが魅力ですので、ECサイト構築が大掛かりになりそうな飲食店は活用を検討しましょう。
IT導入補助金
中小企業や小規模事業者を対象として、課題解決やニーズに合致したITツールの導入を支援するのがIT導入補助金です。ソフトウェアやシステムの導入をサポートする補助金であり、PCやタブレットなど端末だけでは申請できないので、注意しましょう。
IT導入補助金を活用すれば、飲食店でECサイトを構築する際にかかった費用の一部を補助金として受け取れます。最大450万円と補助金額が大きいことも魅力の1つです。
参考:「IT導入補助金」
外食産業事業成長支援補助金
中小・中堅規模の飲食店における売上拡大や収益増加の取り組みを支援するのが、外食産業事業成長支援補助金です。
売上拡大を図るためのECサイト構築は外食産業事業成長支援補助金の対象であり、補助金が約1,000万円と高額なため、大がかりなサイト構築でも少ない負担で対応できる可能性があります。
2023年8月現在は新たな公募情報が出ていませんが、今後新たな情報が追加される可能性があるので、動向に注目しましょう。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が事業の見直しを図り、経営を継続させるための改善を支援するのが、小規模事業者持続化補助金です。2023年8月現在も公募されており、今後も継続する可能性があります。
ECサイトの構築費用は、ウェブサイト関連費に当てはまるため、小規模事業者持続化補助金の対象です。ただし、ウェブサイト関連費のみの申請はできないため、その他広告費などと組み合わせて申請する必要があります。
飲食店がECサイトを運用するメリット
飲食店がECサイトを運用する主なメリットは以下のとおりです。
- お店以外で収益が得られる
- お店の認知度を高められる
- 新たな層のファンを獲得できる
それぞれのメリットについて掘り下げて確認していきましょう。
お店以外で収益が得られる
飲食店は通常ディナーとランチを中心にお店で売上を伸ばすビジネスモデルです。逆に開店していないと売上が伸びないのがデメリットですが、ECサイトを運用すればお店以外でも収益が得られる可能性が高まります。
ECサイトは24時間365日稼働できるため、時間や天気に左右されることなく、一定の売上が期待できることもメリットの1つです。
お店の認知度を高められる
飲食店がECサイトを運用すれば、インターネットでの露出が増えるため、お店の認知度を高められます。ECサイトをInstagramやX(旧Twitter)などSNSを通じてPRすることによって、お店自身の宣伝にもつながるでしょう。
お店の認知度が向上すれば、ECサイト経由でリアル店舗への集客にも期待できます。ECサイトは、リアル店舗への集客を意識して運用することが大切です。
新たな層のファンを獲得できる
ECサイトによってインターネットで飲食店の認知度が高まれば、新たな層のお客様の目にも止まりやすくなります。ECサイトをきっかけにリアル店舗にも来店してくれる可能性が高まるでしょう。
新たな層のファンが獲得できれば、飲食店のPRポイントの幅が広がります。ECサイトでお客様データを収集して分析することで、リアル店舗の戦略立案にも役立つでしょう。
飲食店がECサイトを始める前にすべきこと
飲食店でECサイトを始める場合、以下の手順で進めることが大切です。
- コンセプトを考えて戦略を立てる
- 必要となる許可や届出を確認する
- ECサイト構築にかかる費用を試算する
- 補助金を申請する
手順に沿って計画的に進めることで、スムーズにECサイトを開設できるでしょう。それぞれを掘り下げて確認していきます。
コンセプトを考えて戦略を立てる
ECサイトはBASEやSTORESなどのASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)を活用すれば、すぐにでもオープンできますが、まずはターゲットを決めて戦略的に進めることが大切です。
- ECサイトのコンセプト
- ターゲットとなる客層
- リアル店舗との接点
- マーケティング戦略
ECサイトによって実現したいことを事前に考えておくことで、後の作業をスムーズに進められるでしょう。
必要となる許可や届出を確認する
飲食店がECサイトを運用する際は「食品衛生法に基づく営業許可」が必要です。(既に食品衛生責任者の資格は取得済みと仮定。)窓口は地域を管轄する保健所となります。地域によって許可に必要な条件が異なる場合があるので、必ず各地域の保健所に相談しましょう。
ECサイトを運用する営業許可を取得するためには、保健所に営業許可申請を行い、保健所担当者が立会いのもと施設の検査を受けて合格する必要があります。当然ながら無許可では販売できませんので、注意しましょう。
ECサイト構築にかかる費用を試算する
ECサイトは構築するために費用が発生します。自社で全て製作する場合と、パッケージとなっているサービスを利用する場合で、コストが大きく異なるので、まずは事前にどれくらいの費用感になるのか把握することが大切です。
ECサイトを運用するためには決済に関わるセキュリティを万全にする必要があります。費用を安価にしたいからといって、セキュリティ面をないがしろにすると、後々トラブルになりますので、万全を期すようにしましょう。
補助金を申請する
コンセプトが決まって費用が試算できれば、なるべく少ない負担で済むように補助金を申請しましょう。自社のECサイト運用に適した補助金を選択することで、採択される可能性が高まります。
どの補助金を活用すればよいかわからない方は、ECサイトを構築するベンダーに相談してみましょう。補助金を活用した経験があるベンダーであれば、書類作成など申請のサポートをしてくれる場合があります。
補助金を活用して飲食店がECサイトを開設した事例
滋賀県大津市にある「れすとらん風月」は事業再構築補助金の第5回公募を活用してECサイトを開設しました。事業再構築補助金により、日本初となる精進料理のECサイトとデリバリ―事業へと転換した事例です。
オンラインストアでは、風月自家製の鰻もどきやごま豆腐などの精進料理の他にも、三井寺ひきづり鐘まんじゅうなども購入できます。
補助金を活用したECサイトでファンを増やそう
ECサイトは、飲食店が売上を拡大して利益を上げていくために活用していきたい手段の1つです。インターネットで知名度が高まれば、お店のファンが増えて、リアル店舗への集客にも期待できます。
本記事で紹介した補助金を活用すれば、少ない負担でECサイトを開設できる可能性がありますので、ぜひ参考にしていただき、ECサイトの運用を検討してみてください。