「求人を出しても人が集まらないので、モバイルオーダーを導入して、スタッフの負担を軽減したい…。」とお考えの方も多いのではないでしょうか?
モバイルオーダーの導入には当然ながら費用がかかりますが、補助金・助成金を活用することで、費用負担を少なくできます。
実際に補助金や助成金を活用してモバイルオーダーを導入する飲食店も増えており、今後ますます広がっていくでしょう。
本記事ではモバイルオーダー導入に使える補助金・助成金についてわかりやすく解説します。モバイルオーダーを導入したいと考えている方は必見です。
モバイルオーダーとは?
モバイルオーダーとは、お客様がテーブル上のタブレットや自身のスマホを操作してメニューの注文や決済を行えるシステムのことです。マクドナルドやスターバックスコーヒーでも導入されており、近年導入する飲食店が増えています。
お客様はスタッフを通じて注文する必要がないため、いつでも自由なタイミングで注文できます。飲食店側はオーダーを取る、売上を集計するといった従来の業務をモバイルオーダーに任せられるため、業務負荷を下げた効率的な運営が可能です。
モバイルオーダーの導入で期待できること
飲食店がモバイルオーダーを導入することで以下の効果が期待できます。
- 人手不足の解消につながる
- ヒューマンエラーを少なくできる
- お客様とより深く接することができる
モバイルオーダー導入により期待できるメリットについて確認していきましょう。
人手不足の解消につながる
飲食店がモバイルオーダーを導入すれば、スタッフがお客様からオーダーを取る必要がなくなります。モバイルオーダーでは料理や飲み物の価格が事前に設定されているため、再度集計する必要もありません。
モバイルオーダーを導入することで、従来より少ない人数でも飲食店運営が可能となるため、人手不足の解消につながるといえるでしょう。
ヒューマンエラーを少なくできる
オーダーの取り間違いや会計ミスなどヒューマンエラーを少なくできるのも、モバイルオーダーを導入するメリットです。モバイルオーダーではお客様自身が端末でオーダーを送信します。注文した履歴も残るため、お客様とのトラブルを未然に防げるでしょう。
ヒューマンエラーが少なくなれば、スタッフの精神的負担が軽減されます。スタッフの笑顔が増えて、結果的にお店全体の雰囲気が良くなるでしょう。
お客様とより深く接することができる
モバイルオーダーを導入することで、スタッフに時間と心の余裕ができます。オーダーを取らない分、お客様との接点が少なくなると考える人もいるかもしれませんが、逆にお客様との接点を増やすチャンスになるでしょう。
例えば、モバイルオーダーの端末には記載しきれない料理の特徴や、お酒とのペアリングをスタッフが付言することで、お客様からの信頼を得やすくなります。モバイルオーダーを導入する際は、これまで以上にお客様との接点を増やす意識を持つことが大切です。
モバイルオーダーの導入に使える補助金・助成金
モバイルオーダーを導入するためには、対応した端末やシステムなどハード・ソフト共に費用が発生します。飲食店にとっては負担が大きくなるため、できれば補助金や助成金などを活用してお得に導入したいと考える人も多いでしょう。
名称 | 補助金・助成金区分 | 補助金額・補助率 |
---|---|---|
IT導入補助金 | 補助金 | ・補助金額 最大450万円 ・補助率 1/2~3/4 |
事業再構築補助金 | 補助金 | ・補助金額 最大1.5億円 ・補助率 1/3~3/4 |
小規模事業者持続化補助金 | 補助金 | ・補助金額 最大200万円 ・補助率 2/3~3/4 |
外食産業成長支援補助金 | 補助金 | ・補助金額 最大1,000万円 ・補助率 1/2以内 |
業務改善助成金 | 助成金 | ・助成金額 最大600万円 ・助成率 3/4~9/10 |
上記はモバイルオーダーの導入に使える補助金・助成金です。それぞれの特徴を掘り下げて確認していきましょう。
IT導入補助金
IT導入補助金は、飲食店などの事業者が課題の解決やニーズに合ったITツールを導入する際に活用できる補助金であり、モバイルオーダーの導入も対象です。2023年8月現在も公募されています。
タブレットなどのハードウェアだけでは申請ができず、必ずソフトウェアの申請が必要です。モバイルオーダーの場合は、端末だけではなく導入するシステムも合わせて申請しましょう。
参考:「IT導入補助金」
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小企業の思い切った事業転換を支援するための補助金で、上限が1億円を超える場合もあり、金額の大きさが魅力です。2023年8月現在、第11回公募が開始されています。
店頭に持ち帰り専用のモバイルオーダー端末を設置して、テイクアウト販売を開始するなど思い切った方策に踏み切る場合は、活用したい補助金だといえるでしょう。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が事業を見直して持続的な経営を続けることを支援するための補助金です。2023年8月現在、第13回が公募されており、今後も継続する可能性があります。
モバイルオーダーの導入も小規模事業者持続化補助金の対象です。補助金額の上限は200万円と事業再構築補助金やIT導入補助金に比べて少額ですが、その分採択されやすい補助金だといえるでしょう。
外食産業事業成長支援補助金
外食産業事業成長支援補助金は、主に中小・中堅規模の飲食店を支援するための補助金で、売上拡大や収益増加を目的とした業態転換や事業成長を支援しています。補助金額上限が1,000万円と高額であり、モバイルオーダーの導入にも活用可能です。
2023年8月現在、2次公募が終了して新たな公募情報はありませんが、3次公募があるかもしれないので、動向に注目しましょう。
業務改善助成金
業務改善助成金は、業務効率化によるスタッフの賃金引き上げや労働時間短縮などを支援するための助成金です。対象先の選定がある補助金と異なり、一定条件を満たしていれば、助成金が支給されます。
モバイルオーダーの導入は機器・設備の導入として認められます。飲食店の最低賃金を30円以上引き上げることで、モバイルオーダーの導入にかかった費用の一部が助成される制度です。
地域限定の補助金・助成金
その他にも地域限定で活用できる補助金や助成金もモバイルオーダーの導入に役立ちます。
富山県の中小企業を対象とした「富山県中小企業ビヨンドコロナ補助金」が一例です。富山県内で新型コロナウイルスや物価高騰の影響を受けて売上高や利益率が減少した中小企業が対象であり、モバイルオーダーの導入案件が採択された事例もあります。
参考:富山県中小企業ビヨンドコロナ補助金 第4次募集のご案内について
モバイルオーダーの導入に補助金・助成金を使った事例
富山県氷見市にある料理宿・民宿「城山」は「富山県中小企業ビヨンドコロナ補助金」を活用して、モバイルオーダーを導入しました。
モバイルオーダーの他にもPOSシステムや予約管理システムも補助金を活用して導入し、労働生産性を向上できた事例です。
参考:富山県中小企業ビヨンドコロナ補助金(第3次募集分)採択結果 特別枠 No.18
モバイルオーダーと接客を融合させる考え方
飲食店がモバイルオーダーを導入することで、人手不足の解消につながる可能性がありますが、単純に人の作業を削減するだけではいけません。以下のように、モバイルオーダーと接客を融合させる考え方を持つことが大切です。
- 空いた時間でお客様との接点を増やす
- お客様と一緒に楽しむ
それぞれの考え方について、詳しく確認していきましょう。
空いた時間でお客様との接点を増やす
モバイルオーダーは注文をお客様にお任せするので、お客様との接点が少なくなると考える方も多いでしょう。モバイルオーダーと接客を融合させるためには、オーダー以外の接点でお客様に魅力を感じてもらう必要があります。
オーダーを取らなくなったことで空いた時間ができれば、従来よりもお客様のことを観察して、変化を察知するようにしましょう。端末を見て悩まれているお客様がいれば「何かお困りですか?」と声掛けするなど、意識的に接点を増やすことが大切です。
お客様と一緒に楽しむ
モバイルオーダーを導入することで、スタッフは従来よりも心に余裕を持ってはたらけるようになります。お客様に一層喜んでもらうためには、スタッフ自身も一緒に楽しむことが大切です。
例えば、お客様と一緒に写真を撮ったり、提供する料理に関するクイズを出したりして、お客様と一緒に楽しむ接客ができれば、印象に残りやすくなり、再来店のきっかけになるでしょう。
モバイルオーダーと接客については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
モバイルオーダーは補助金を活用して導入しよう
モバイルオーダーは導入することで、人手不足の解消につながる、ヒューマンエラーを少なくできるといったメリットがある一方で、システムや端末を導入する費用が高額となるデメリットがあります。
費用面の負担は補助金を活用することで大きく軽減できる可能性があります。本記事で紹介した補助金を参考にしていただき、モバイルオーダーの導入を検討してみましょう。