「飲食店を開業したいけど、坪単価の相場がわからない…。」とお困りではないでしょうか?
坪単価は日本各地で大きく異なります。さらに、飲食店の業態によって必要な坪数も異なりますので、まずはしっかりとシミュレーションすることが大切です。
本記事では飲食店の客席数や厨房面積比の関係や日本各地の坪単価の相場について紹介しています。飲食店の開業をご検討の方は必見です。
飲食店の客席数と厨房面積比の関係
飲食店ではどの業態にするかで客席数や厨房面積比が変わってきます。坪単価の相場を確認する前に、業態別の客席数と厨房面積比の関係を以下で確認しましょう。
客席数の目安
1坪は約3.3平方メートル(約1.82m×1.82m)です。一般的な飲食店の客席数の目安は2席/坪と覚えておきましょう。
ただし、お客様がゆったりと過ごしたいと考える高級レストランであれば1席/坪、大衆居酒屋であれば2.5席/坪といったように、飲食業態によっても異なります。
厨房面積比の目安
料理や飲み物を提供する飲食店では厨房が必須です。物件を探す場合は客席だけではなく、厨房も考慮した上で選定しましょう。以下は飲食業態ごとの厨房面積比の目安です。
- <ファミリー向けレストラン>厨房 4:ホール 6
- <居酒屋、イタリアンレストラン、中華料理屋>厨房 3:ホール 7
- <カフェ、バー、ラーメン屋>厨房 1:ホール 9
取り扱うメニューや厨房設備によっても厨房面積比は異なります。まずはお客様に何を提供するのかコンセプトを決めましょう。
日本各地の坪単価の相場【2024年2月版】
お店を日本のどこに出店するかで坪単価は大きく変動します。当然ながら東京や大阪の都市部に行け行くほど坪単価は上がり、郊外に行けば坪単価は下がります。
飲食店の多くがひしめき合う東京、大阪、名古屋の平均坪単価の目安は以下のとおりです。
- 東京都渋谷区:約38,000円
- 大阪市中央区:約24,000円
- 名古屋市中区:約17,000円
このように地域が変わるだけで坪単価は大きく異なります。仮に大阪の繁盛店でも東京で出店する場合は、家賃を考慮したうえで戦略を練る必要があるでしょう。
飲食店の売上と家賃の関係性
日本各地で坪単価の相場は異なりますが、大切なのは売上を伸ばして飲食店を軌道に乗せることです。そのためにも以下の項目はしっかりと意識しましょう。
- 家賃比率の目安は売上の10%未満が理想
- 他の経費もシミュレーションすることが大切
それぞれの項目を掘り下げて確認していきます。
家賃の目安は売上の10%未満が理想
売上に対する家賃の比率のことを家賃比率と呼びます。また飲食店では家賃比率の他にもFLR比率という言葉があり、それぞれ以下を表す言葉です。
- F:Food(食材費)
- L:Labor(人件費)
- R:Rent(家賃)
売上に対して、FL比率は60%、FLR比率は70%が相場とされています。つまり家賃比率は10%未満に抑えることが理想とされています。
売上は常に変動して、家賃比率もそれに合わせて変動しますが、出店前に綿密にシミュレーションして、常に10%を下回るようにすることが大切です。
例えば、家賃が月50万円の物件であれば、売上は最低でも500万円は必要です。何があっても売上が500万円を下回らないように徹底的にシミュレーションしましょう。
他の経費もシミュレーションすることが大切
飲食店で掛かる経費は当然ながら家賃だけではありません。食材や飲み物の仕入れ、人件費、光熱費など他にも様々な経費が存在します。シミュレーションをする際は、これら全ての経費を考慮することが大切です。
売上から全ての経費を引いたものが営業利益です。経済産業省が発表している飲食企業における売上高営業利益率は平均で8.6%となっています。参考に大手飲食企業の営業利益率を以下で確認しましょう。
- 株式会社鳥貴族ホールディングス:4.2%(2023年7月期)
- 株式会社大戸屋ホールディングス:1.1%(2023年3月期)
- 株式会社ブロンコビリー:7.0%(2023年12月期)
参考:各社IR情報サイト(上記リンク参照)
このように大手企業の営業利益率は平均より下回る傾向にあります。
一方、中小の飲食企業の営業利益率は平均で11.4%です。これから飲食店の開業を検討している方は、まずは営業利益率10%程度を目指していきましょう。
飲食店が売上を伸ばしていく方法
飲食店が多店舗経営など業容拡大を目指すのであれば、売上を伸ばしていくのが一番の近道です。売上を伸ばす方法は以下の2つに集約されていると言っても過言ではないでしょう。
- 居心地の良い空間を提供して集客数を伸ばす
- リピーターを作って客単価を上げる
売上を伸ばす2つの方法について解説します。
居心地の良い空間を提供して集客数を伸ばす
お客様は飲食店にただ料理を食べに来ているのではなく、リラックスした居心地を求めて来店されます。居心地の良い空間をお客様に提供できれば、SNSや口コミでその情報が拡散されて、集客数が伸びる可能性が高まるでしょう。
飲食店の居心地を左右するのがスタッフの存在です。スタッフの気配りや心配りによって、居心地は良くも悪くもなります。家賃が高くて広々とした空間を提供できても、スタッフの対応が悪ければ、お客様にとって居心地の悪いお店になってしまうでしょう。
居心地のよいお店を作るためには、お客様に心地よい接客を提供するのが一番です。接客で大切なことやポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
リピーターを作って客単価を上げる
飲食店が売上を伸ばすためには、リピーターを作って客単価を上げることが近道です。リピーターを作るためには、お客様にお店のファンになってもらう必要があります。
お店のファンになってもらうためには、料理や飲み物の品質はもちろん大切ですが、それ以上にスタッフの接客が大事です。接客は以下の2つに分けられます。
- サービス:お客様が支払う金額と対等な接客で当たり前の部分
- ホスピタリティ:等価であるサービスとは別で相手の心を慮ること
日本では「おもてなし」がクローズアップされがちですが、当たり前の部分であるサービスを軽んじては、ファンは増えません。リピーターを作って客単価を上げるためには、2つの接客をバランス良く行っていくことが大切です。
坪単価の相場を知ってシミュレーションを綿密に
飲食店の坪単価は出店する地域によって大きく異なります。家賃を考えることは当然ですが、その他経費や売上を伸ばすことも念頭に綿密なシミュレーションを立てることが大切です。売上を伸ばすことができれば、家賃比率が減少しますので、より健全な飲食店経営ができるでしょう。
売上を伸ばすためには、お客様に居心地の良い空間と心地よい接客を提供することが大切です。飲食店の接客業については、以下の記事でも詳しく解説していますので、売上を伸ばすための参考にしてください。